スピ系女子の考察の前に 2


 冷たく澄んだ空気は、緑の爽やかな香りを含んでいた。空に小さな白いちぎれ雲が浮かび、太陽の光はサンサンと大地に降り注いていた。足下の草露はキラキラと光っていた。      

 彼女の自宅に近い公園だった。大きな木が何本も生茂り、広い芝生では子供たちが無邪気に駆け巡っている。土曜日の朝はいつもこんな感じだ。

 

 7、8才ぐらいの男の子と女の子が、どんぐりの木を見つけ、低い枝を引っ張っぱり、まだ青い実のドングリをもぎ採ろうとしていた。


「待ちきれないか……」


 その光景がとても懐かしく、愛らしいかった。ここに来ると、平日の心身の疲れが癒される気がした。


「平八郎さん、おはよう」


 彼女はいつものクリーム色のハット帽子と、ロングスカートで微笑んだ。


「歩くわよ」


 彼女は、おもむろに靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ捨てた。そして裸足になり芝生の上を歩き始めた。オレも裸足になった。朝露が残る芝生は、湿っていて冷たく、足の裏がひんやりと気持ちよかった。 





つづく







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