まとめ 6 神様へのお願い事
曉月は、朝日の光に照らされ消えていった。
オレはいつもの場所に車を止めた。ここはオレたちが住んでいる土地の神様、氏神様がいる神社だった。
「平八郎さん、身だしなみはバッチリね」
「ああ」
神社には神様に会いに行くのだから、服装はキッチリするように、と彼女に教え込まれていた。一礼して、本殿に入った。以前、オレが参道の真ん中を歩いていると、彼女によく怒られたものだ。
「正中は神様の通り道だから、端っこ歩いて」と。
手水舎での手と口の清め方も、彼女がしつこく執拗に教えてくれた。
二人で拝殿に行き、45度の深い礼をした。オレは最初、彼女の決然とした、45度の深い礼を見た時はびっくりした。想像以上に深く、腰を傷めないかと心配になったぐらいだ。神様も、さぞかし彼女の捨て身の礼に喜んでくれているだろう。
お賽銭の金額についても彼女に怒られた。「ご縁があるように」と5円玉を投げ続けてきた、オレの27年間の人生をバッサリと否定された。
「平八郎さん、小学生じゃないんだから、しっかりしてよ」
迷うことなく、紙を賽銭箱に入れることができる彼女に、頭が下がった。
二拝二拍手一拝して、鐘を鳴らし、拝殿を離れた。
「平八郎さん、神様には、お願い事をするんじゃなくて、感謝するんだよ」
「――わかってる」
参拝のあと、二人で境内を散歩した。
つづく
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