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- ★★★ Excellent!!!藝術は我々をつなぎ、我々を断絶させる
初期の平野啓一郎のように、擬古文で執筆する現代文學という難題に挑戦している。
内容は、恐縮ながらカテゴライズさせてもらえれば、梶井基次郎風の幻想小説となっている。
大學生の殉一は、知人のY君の死のなぞを追蹤することで、狂気の世界に嚮導されてゆく。
殉一とY君は藝術でつながっていた。
それだけが殉一とY君の羈絆だったといってもいい。
クライマックスでは、幻覚らしい一組の警官からY君殺害の容疑をかけられる。
理由としては、おそらく、天皇陛下を揶揄しているらしい不敬な藝術家を愛好しているからだという。
殉一からすれば、『藝術は運命的に悪だ』というような理窟になる。
畢竟、『藝術を…続きを読む