月の香りに誘われて


ちょっぴりダークな学園ファンタジー……と呼ぶには枠からだいぶはみ出すであろう本作品。
個人的な推しポイントは、物語の土台となっている神話。
これの使い方が非常に上手く、主人公を含めた多くの登場人物が「血の運命」に縛られていることが窺えます。
至る所で神々の系譜を感じる場面が多く、このお話を単純な学園ラブファンタジーから一つも二つも上の段階に押し上げているのです。

そして個性豊かなキャラクターともふもふと強火ストーカーが、そんな少し不穏な世界観を更に盛り上げてくれます。
もちろん獣人である主人公セリアルカと、彼女に異常な執着を見せるアルファルドも神話に深く関係した人物です。作中で垣間見せる彼の溺愛を通り越した激情は狂気すら感じますが、そこがまた良い(頷き)
物語後半ではとある物騒な事件が起きるのですが、そこで繰り広げられる戦闘シーンがめちゃくちゃ熱いのもおすすめポイント。
いや、正直もっと推しポイントはあるんです。獣人の嗅覚ならではの香りに関する描写とか……でもそれは直接読んだ方が分かりやすい!
幻想的な神話を背景に、恋愛ももふもふも陰謀もバトルも楽しみたいぜっていう方はぜひ読んでみてください!

最後になりましたが完結おめでとうございます。素敵なお話ありがとうございました!

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