狼の獣人として生まれた少女セリアルカは、何故か大貴族の息子アルファルドからしつこく婚約したいと迫られていました。
私みたいな狼女が選ばれるはずがないと、お断りの手紙を送って逃げるように転校、彼女は寮生活へ。
これで彼から逃れられたと思いきや、彼も学園の生徒であっさりと捕まってしまいます。
流れるように求婚してくる彼の愛が重すぎる、どうなる私の学園生活⁉
というコミカルな雰囲気で始まる物語。
あらすじや作品紹介にあるように、アルファルドはかなり愛が重く、事あるごとにヒロインであるセリアルカを口説きます。(「結婚してください」は当たり前)
しかしそれが明るく楽しく読めるのは、ヒロインのセリアルカのさっぱりとした性格のおかげでしょう。徐々にこの愛の重さが癖になってしまうこと間違いなしです。
彼女を取り巻く友人やクラスメイトたちも個性的で、皆とのやり取りもとても楽しいです。お相手がいる子もいるので、それぞれの恋愛模様も見守りたくなってしまいます。
そんなちょっぴりヤンデレな彼に愛され少しずつ絆されつつ、とても楽しい学園生活を送ると思いきや、セリアルカはとある事件に巻き込まれていきます。
そしてアルファルドの秘密とセリアルカを溺愛するの理由も明かされていくのですが、そこには神話の時代から現代へとつながる「縁」がありました。
要所要所で挿し込まれるこの神話が非常に美しく、物語の世界観に引き込まれていきます。
そして全ての真実を知った時、セリアルカたちはどうするのか。
笑いもバトルも恋愛も、作り込まれた世界観も堪能できる大変贅沢な物語です。
ぜひご一読ください、おすすめです!
獣人の女の子セリアルカと、彼女を狂おしいほどまでに溺愛するアルファルドの関係を描いた学園恋愛ファンタジー。ですが、単なる学園ものではなく、綿密に錬られた世界観と神話が舞台になっており、読み応えは十分です。
セラことセリアルカは獣人であるがゆえに様々な制約を負っているのですが、その枷を物ともせず序盤からグイグイ迫ってくるのがヒーローのアルファルド。セラに近づく者は文字通り殺す、という勢いで溺愛しておりますが、実は二人の運命にはこの国に伝わる神話が関係していました。
この神話がまたよく考えられており、まるで伝承のように語られる美しい物語がこの作品を魅力的に彩っています。神話好きの方は必見。
中盤以降は学園で起きた獣人にまつわる事件に焦点を当て、後半にかけて一気に読者を引き込みます。その中で少しずつ関係を育んでいくセラとアル。個人的には、セラに対してはもう尻尾をブンブンに振った子犬のような態度を取るのに、彼女に害を成す存在には狂犬のように(相手を半殺しにするレベルで)噛みつくアルファルドのギャップを存分に堪能頂きたいです!(笑)
メインの二人以外のキャラクターも個性的で、彼らの掛け合いを楽しめるのも魅力の一つ。
男女のカップルも多く出てきますので、恋人同士のキュンとした可愛らしい場面もありつつ、男同士の軽口を混ぜたコミカルなやり取りや息のあった戦闘シーンなど、キャラクターものとして見ても面白い一作です。いわゆる「推し」や「推しカプ」が必ずできる作品かと。
神話をベースとした世界観や学園もの、ロマンスやブロマンスなどキャラクター同士の関係性を存分に楽しみたい方におすすめの作品です!
騎士を目指す少女セリアルカと、彼女を溺愛する美青年アルファルドが、王立学院で再会することから始まるラブストーリー。実は、神話時代から現代へまっすぐつながる、非常に奥深い背景を持った物語でもあります。
序盤、学園ファンタジーらしく、次々と登場する美男美女の学友たちに翻弄される主人公。王立学院に通う学生たちは、貴族や王族など上流階級の若者が多く、友情恋愛対立を絡めながら、セリアルカの特殊な体質である「狼女」について理解を深めていけるようになっています。(もふもふ狼もたくさん出てきます!)
中盤で起きる事件を切っ掛けにミステリの色を帯びるようになりますが、それを解き明かしていく中で、セリアルカやアルファルド(他のメインキャラたちも)の神話的な背景も徐々に明らかになっていきます。
アルファルドがセラを溺愛する理由も、過去の出来事に起因するとわかってくるのですが……そこからの怒涛の展開が本当に胸に迫りますし、読み進めずにはいられなくなります。幸せになって、と願わずにはいられません。
アルファルドが抱く一方通行の重い愛情が、双方向になる日は来るのでしょうか?
ぜひご一読ください。
ちょっぴりダークな学園ファンタジー……と呼ぶには枠からだいぶはみ出すであろう本作品。
個人的な推しポイントは、物語の土台となっている神話。
これの使い方が非常に上手く、主人公を含めた多くの登場人物が「血の運命」に縛られていることが窺えます。
至る所で神々の系譜を感じる場面が多く、このお話を単純な学園ラブファンタジーから一つも二つも上の段階に押し上げているのです。
そして個性豊かなキャラクターともふもふと強火ストーカーが、そんな少し不穏な世界観を更に盛り上げてくれます。
もちろん獣人である主人公セリアルカと、彼女に異常な執着を見せるアルファルドも神話に深く関係した人物です。作中で垣間見せる彼の溺愛を通り越した激情は狂気すら感じますが、そこがまた良い(頷き)
物語後半ではとある物騒な事件が起きるのですが、そこで繰り広げられる戦闘シーンがめちゃくちゃ熱いのもおすすめポイント。
いや、正直もっと推しポイントはあるんです。獣人の嗅覚ならではの香りに関する描写とか……でもそれは直接読んだ方が分かりやすい!
幻想的な神話を背景に、恋愛ももふもふも陰謀もバトルも楽しみたいぜっていう方はぜひ読んでみてください!
最後になりましたが完結おめでとうございます。素敵なお話ありがとうございました!