本作を音読して分かったことがあります。
かなりの速さで読み進めていって、一瞬、自分が口にした言葉にはっとすることがあり、もう一度黙読してみると、それは確かに効果を狙った書き方であり、あざとい感じのするものであり、実際、作者が「こうだ! こうだろ! ここは!」って書かれたのが伝わります。
音読は、自分で読んだ文章を、また自分の耳で聞いて味わいます。
相乗効果で、たっぷりと感動に浸れました。
こんな読み方、最近したことがなくって、漫画も速読だったし、作者さんの専門の児童書もそうだった。
心の込め方にもよるのでしょうが、わたくしは自分で自分の声に惚れました。
こんなことをリアルで口にするはずない、そんな独白のシーンで、深く没入できました。
友だちから借りた折原みと作品でもこんなに感動したことがないぞと、思いめぐらせました。
よきぃ!
写真コンテストで後輩に負け、奮起するために海へ来た主人公。
そこで待っていたのは、美少女のビンタでした――。
キャッチコピー通り、この物語はビンタから始まります。衝撃です(笑)。
真夏のひとときの高校生らしい青春が、存分にこのビンタから込められております。
海の美しさを様々な角度から堪能し、その美しい海を通したやり取りから二人の距離が縮まっていくのが分かります。
最後に落とされる少女の涙に翻弄されながらも、その意味が分かった時、また思わぬ青春に出会えることでしょう。
とても短いお話ながらも、ぎゅっと青春が濃縮された深い深い物語です。
是非とも、このきらりと光る青春を、貴方の一コマとして収めて頂ければと思います。