心臓の毛

不慮の事故に遭遇して、意識もなく、血海に漂って、運び込まれたのではないのです。
その身に、重大なる欠陥を抱き、生きることもままならない状態であるわけでもないのです。
それでも、病院なる平生とは異なる環境に身を置くことをわたしは余儀なくされているのです。
その病院に出かけていくと、実にさまざまなる様相を目の当たりにするのです。
そんなんなら、毎日、出かけていくかと呑気なことを考えますが、なにしろ、そこはわたしにとって異世界。
一年に一回、あるいは、半年に一回がほどよいようです。