美しい情景描写の相まった奇妙な味わい

山奥の村に蚕について調べに来た学者が、養蚕業の若者から話を聞いている内に……というお話。
これを映像で見る勇気が出ないほど、生理的嫌悪を催す描写も抜群なのですが、それだけでなく〈月も出てなくて、夏だってのに冬みたいに枯れた桑の木の枝が、障子に蜘蛛の巣みたいな影を落とす夜だった。〉(←この描写が一番好きでした)みたいな美しい情景描写も相まって奇妙な味わいになっています。明確な答えが出る物語ではないけれど想像はできる作品になっていて、その掻き立てられた想像にぞっとしてしまいました。

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