我こそは。

 昔、私はあるボランティア団体に属していた。そのボランティア団体にいる別なスタッフに、人付き合いのあまり得意ではない人間がいた。
 ある日のこと、ボランティア仲間のレクリエーションがあり、私もその人物も他の多くのボランティアと共に参加した。
 しかし、いつまでたってもその人物は誰にも声をかけられなかった。誰か声でもかけてあげればいいのに、と、私は他の仲間達に言った。それなら、あなたが率先して声をかけたらいかがと仲間たちは言った。
 全くその通りだ。私は恥じ入り、赤面しつつも、その人物に声をかけた。先方は頷き、私と共に輪に入った。
 そんな話を、本作を読みながら思い返している。