煙のように

 不思議な話だった。むろん、否定的な意味合いではなく肯定的な意味合いで。
 病院の『白衣』と個人の『黒衣』を対比させるのは強い印象を残す技法で、色彩個性というべきものを打ち出している。
 また、病気そのものや罹患者の様子も克明に描かれている……肉体的な昏睡状態から死に至る病気として『眠り病(アフリカ睡眠病)』が現実に存在するが、こちらは精神的な昏睡状態である。その病原体たるやツェツェバエ(眠り病の病原体を媒介する吸血蝿、実在する)並みに始末が悪い。
 その治療と予後については、詳細本作。

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