好き、嫌い、それから尊敬

 序盤では今一つ未熟な、自分の感情を持て余し気味の主人公が『事件』を経て精神的に脱皮していく様子を克明に描いている。一つ一つの場面をちゃんと整理して理路整然たる流れを作り、そこに主人公の作品や妹といった岩を配した構成は一本の清流であろう。
 主人公を見守る先輩の言動が珠玉な傑作。