現実世界のほうが気になったりします。

「異世界ファンタジー」というジャンルの小説を初めて読みましたが、短編で1話ごとの字数が短めということもあり、比較的すんなり読めました。

異世界(ジオラマの世界)でのやり取りもなかなか興味深いのですが、本作はそれよりも、現実世界での諸々のほうが気になるかもしれませんね。

日本では珍しい地下階のある家(それも地下にバスルームがある)、その家と図書館がつながっている謎な構造、不登校の弟、そして図書館の(一度も姿を見たことがない)館長。
特に、図書館の館長は作者曰くキーパーソンらしいのですが、本編では出て来ず。続編ができればそこで登場するかもしれませんね。

別の長編を読んでいても感じましたが、作者さんは海外の芸術や文学への造詣が深く、本作では、オスカーワイルドの『ナイチンゲールと紅いバラ』がキーになっています。私はよく知りませんでしたが、わりと有名な童話らしいですね。

女性主人公でサクッと読める短編ファンタジーをご希望の方におすすめです。

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