唯一無二の世界観で紡がれる、普遍的な想いの物語。

幸せを想うこと、生きること、優しい賛美歌が歌い上げます。
本作は、特徴的な宗教概念によってたつ街クアドラードに生きる人々と、彼らに寄り添う第四十一代司教のアオイ、司教記録本の担当記者となったエミリアが織りなす物語です。
若く、ともすれば奔放に見えるアオイに惹きつけられるエミリア、読者は彼女の瞳の中に、ちょっとお邪魔させてもらうような感覚でしょうか。
澄明な空気感と鮮やかな色彩のイメージ、異質な世界とそれでも変わらない人の営み、エミリアの眼差しに導かれて愛おしい時間を共有できます。
やがて、少しずつ過去の事件と、人々の心を紐解く展開に触れる頃には、もう読者は彼女として、同じ空間で息づいていることでしょう。
異世界ファンタジーの醍醐味、真骨頂とも言える体験を、あなたも是非、味わってみて下さい。

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