魔女と妖精が送る、心温まりそして儚い“愛”の物語。

年老いた魔女・ローエと、幻花の妖精イム。
2人が出会うところから、物語は始まった。

人間嫌いでわがままなイムを、宥めるように話すローエ。まるでおばあちゃんと孫娘みたいな関係。本当にそうなのではないか、と思えてしまう会話のテンポは心地良くて、懐かしさをおぼえた。
時折、イムがカチンとくることを言うのだが、何故かそんなに腹立たしくない。むしろ、可愛いと思えてしまう。お見事、と言うしかない。

だが、やっぱり2人はおばあちゃんと孫娘ではない。
イムはただのわがままな子供ではない。ちゃんと、ローエの本質を一緒に暮らす上で見抜いている。
なんだかんだで、2人は支え合って生きていたのだと実感させられた。


物語のラストは、涙が止まらなかった。
2人の関係がわかってきたからこそ、あのラストは納得がいったし、2人が互いのために選択した道は、愛おしかった。
恋愛じゃない、もっと深い“愛”が伝わってきた。だからこそ、涙が止まらなかった。

『だってあたしは、ずっとローエと一緒にいて、ローエを見てきたもの』
結局、このイムの言葉が物語を背負うにふさわしい言葉だと思う。私はこの言葉が大好きだ。