概要
人の姿をした桃の木<頬紅桃>の秘密とは?
古代中国の亡命詩人と、娘の姿をした桃の樹のおはなし
<冒頭>
辛くも都を逃れた李韓が、郷へ戻る道すがら行商人に出くわした。
地まで届く辮髪と白い顎髭を持った仙人のような老爺である。草で編んだ御座を敷き、あぐらをかいて座る前にありとあらゆる売品が並べられている。輝くような白磁の皿や、煌びやかな意匠の朝服、鋭い切っ先の矛や鉄剣、山と積まれた詩経の書物……みすぼらしい姿の老人に反して、どれも精巧に作られた逸品ばかりだ。
<冒頭>
辛くも都を逃れた李韓が、郷へ戻る道すがら行商人に出くわした。
地まで届く辮髪と白い顎髭を持った仙人のような老爺である。草で編んだ御座を敷き、あぐらをかいて座る前にありとあらゆる売品が並べられている。輝くような白磁の皿や、煌びやかな意匠の朝服、鋭い切っ先の矛や鉄剣、山と積まれた詩経の書物……みすぼらしい姿の老人に反して、どれも精巧に作られた逸品ばかりだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「頬紅桃」とは、娘のような姿をした植物のことである。
舞台は古代中国。
物語の主人公である李韓《りかん》と言う男は、都落ちした官吏。しかも独身。そんな彼は故郷に帰る道すがら、仙人のような装いの行商人に「頬紅桃《ジャホンタオ》」という植物を出され、見入ってしまいます。
何故なら、その姿がまるでうら若き娘のようだったから。
李韓は、変わった姿をした頬紅桃に一目ぼれをしてしまい、行商人の行いを見逃す代わり持ち帰るのです。
故郷に帰った李韓は、周囲の人たちの冷ややかな目も気にせず、頬紅桃と共に生活をするのですが、果たしてどんな結末が待っているのでしょうか。
言葉巧みに紡がれた物語です。
「頬紅桃」が何故そんな姿をしているのか、李韓はどう…続きを読む