時に深い傷をつける夢。それでも、人が夢を抱く理由とは。

最初はほのぼのとしていて、微笑ましいなあなんて思っていたら、続く2話目で
エッと目を見張る羽目になり、そのあととても胸が痛くなり。

この後どうなるのだろうと、沈んで痛んだ胸を抱えて最終話を読んでみたら、
ハッと目が覚めたような気持ちになりました。

「相手」と語り手の絆や愛情が感じられる、切なさの香りが漂う終わり方。
でも読後、希望を感じることのできる余韻。
月の光のように柔らかく包み込んでくれるような、そんな気持ちを味わいました。

夢を見て、追いかけることに時間だのなんだのでつい躊躇いを持ってしまう。
でも本当は、早いも遅いもない。そのことに、改めて気づかされました。

夢を持つことは、時に痛みを伴う。そのことをちゃんと書いた上での
このラストなので、尚のこと胸に響きました。
諦めることもできる。でも、再び夢を抱くことも出来るのだと。