最後の風景がきれいでかなしい

滅びた世界で必死に生きる人々の姿が生々しく迫ってくる気がしました。みんな生きるために必死で、でも世界と同じようにどこか荒廃していく心も抱えていて、苦しんでいる姿が容赦なく描かれていきます。

吸血鬼と人間の間の憎悪、人間同士の争い、吸血鬼同士の争い。闘争と憎しみに満ちた世界で、ひとときの人間らしいふれあいがあたたかくも悲しくて、だからこそその後に描かれる葛藤が苦しい……。

ラストシーンの静けさと美しさが私はすごく好きです!
これから彼らがどうやって生きていくのか……人間だからやっぱり、なんらかの社会や秩序を打ち立てないと生き残っていくのは厳しいんじゃないのかなあ、とか、人間と吸血鬼が争い合い、奪い合うのではない、違う道を選んでいたらどんな世界になっていたんだろうとか、いろいろと思いを馳せつつ、物語の余韻を噛みしめました。

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