吸血鬼がグーで殴ってくるぜヒャッハー! 必死で生きる人間たちの姿が熱い

舞台が、滅亡後の福岡……。
福岡が滅亡するとどうなるのか、想像したこともない私には、まずそこが「どんな世界!?」といきなり気になるのです。

読むと、今現在の現実の空気を半分残したまま、誰もいなくなり、文明生活が消えてしまった、知らない世界がそこに。災害で突如、平穏な生活が奪われた街のような、人々が逃げ去った後の街が、読者の前に現れます。

一体この街に何が起きたの? と不安な気持ちで読み進むと「教えてやろうか!!」みたいな感じで、畳み掛けるようなアクションシーンが!
こっ、コイツ、モンスターなのにグーで殴ってきやがるぜ!? 物理!? ああだめ死んじゃうううっ!?

という、良質アクション・ホラー映画を見るような小説です。
書籍化経験者の作者様の、確かな文章力とストーリー展開。

殺らねば殺られる過酷な世界をサバイバルする主人公の強さと、ナイーブさ。彼をとりまく人々の、ひたむきに生きる優しさに、心が震えます。

それでも、いつ誰が死ぬかもわからないんだぜヒャッハー!!
みんな生きて!! どきどきハラハラ、しんみり!!

襲い来る困難を棒で殴ってでも俺の人生を突き進みたい(電動チャリで)熱いハートの若者や、無茶する息子が自立したけど危なっかしい、毎日心配で泣きそうな子育て系読者さんにも、ぜひ。

近畿在住読者ですが、福岡の地理を知らなくても、日本のある地方都市の物語として熱くなれますよ。

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