バナナが! めっちゃ怖い!

ホラー作品は苦手なのですが、さらりと読みやすい文章で、すんなりと物語の中に入っていけました。
不登校の主人公がバイトする喫茶店で、不思議な出来事が起きます。出どころの分からない水がこぼれていたり、いるはずのない子供の足音がしたり。めっちゃ怖い! 絶対幽霊!! とビビりながら読み、どんな怖い幽霊が出て来るのかと思いきや……。
ことさらに、読者を怖がらせようとか、怖いものを書こうという作品ではなく、日常の世界にいる不思議なものや、霊の気配を、淡々と描くような作風で、返ってそれが、こういうことは本当にあるのかもしれないな、誰にでもは見えなくても、死んだ後や、生まれる前にも、人間はこの世とあの世の境目を、ふんわりさまよってるのかな、と感じられる物語でした。
それで、この物語は、このままふわっと優しい感じで終わるんだ……と思ったのに、違うやん! バナナめっちゃ怖いやん!! て、関西弁丸出しになりましたね。いやあ怖いね……、幽霊なめたらあかんのですね。なんでそういう食べ方なんだろう。不条理で怖い……。
皆さん、最後のバナナのところまで、下っ腹に力入れて油断せずにお読みください。