金盞花の陽炎

【あらすじ】
とある世界。そこでは東に位置する国家群「桜華（おうか）」と、西に位置する国家群「ディシプリン」が、百年にもわたる理由なき戦争を続けていた。
両国ともに疲弊しながらも、兵士の痛覚を麻痺させ、強制的に闘争本能のみを活性化させる呪術によって消耗品のように人間を扱いながら、いつ果てるともなき泥沼へと足を踏み入れていた。

そんな中、かつて桜華で最強とまで言われた軍人、膚李（はだり）。
武器は一本の刀のみ。
しかし確実に人間の首を跳ね飛ばし、20人以上を一人で相手取り、どのような地獄の戦場からも生還する。
まさに英雄というに相応しい、奇跡のような存在だった。

しかし、膚李自身はその力をずっと疎ましく思い、悩んでいた。
英雄視される中で、誰にもそのことを打ち明けられないまま。その術さえも…続きを読む