「魔法」がかかる、待ち時間。

 いわゆる都会の電車には、ほとんど待ち時間がない。その一方で、いわゆる田舎の電車ともなれば、待ち時間は一時間以上にもなる。そのため、「田舎」の電車を一本乗り過ごした場合、待ち時間は長いし、目的地には遅れるし、はっきり言って最悪だ。しかし、この主人公は違うのだ。
 主人公にとって、駅のホームでの待ち時間は、ゆっくりしていても他者との差が生まれない時間だ。特別な入り口を持った、特別な場所だ。誰かに急かされたり、競わされたりしない安息の場所。
 あなたには、そんな場所があるだろうか?
 この主人公のように、「暇な時間でなく有意義なくつろぎの時間」として、待ち時間を過ごせるだろうか。思うに、この時間の感覚は、心の余裕があるかないか、ということではないだろうか。

 電車が遅れて、イライラ。
 そんな経験を思い出しながら、読むのが良いかもしれません。

 是非、御一読下さい。

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