おまけ

ネタバレしかない登場人物設定

 本編を読了いただき、ありがとうございました。


 おまけとして、登場人物の裏話を交えた紹介文を掲載します。作品ラストまでの容赦ないネタバレを含みます。

 最後までお話を読了した後にお読みいただくことを推奨いたします。











タンフウ

本名:タンフウ・ミカゼ(薫風・深風)


 代々、神官を務めてきたミカゼ家の長男。皇太子暗殺未遂事件を起こしたシナドの息子。

 天文連合所属であり、代表。


 作者が適当なので、名前が風だらけである。

 ミカゼとマカゼで迷ったけど、後者は私の脳内で完全に某タカラジェンヌのビジュアルになってしまうのでやめた。むしろあのキラキラした顔立ちとは対極の主人公である。


 父親のせいでかなり風当たりの強い人生を送ってきた。本人も言わないし、前半はその境遇を隠しているためにあまり本編で書かれていないが、世間からは、王宮に乗り込んだときに人々から言われたことをぶつけられ続けてきた感じである。

 なのでこの話が始まった段階(天文連合にいる段階)で、彼にとってはだいぶ幸せな環境にいる。そのため、ようやく得たこの平穏をとにかく守りたかった。


 主人公ゆえに、彼のあれこれは割と本編中で語ることが出来たので、あまり出せる裏話はなかったりする。薬学のくだりとか。


 だいぶ自分を抑えつけて生きてきたので控えめな性格だが、根はもうちょっと適当で面倒くさがり。その辺は料理に対する姿勢で少し現れている。

 これまでの育ち方から、他人を不快にさせない努力は怠らないが、基本自分にはかなり無頓着。なので上記の適当さと合わさり、彼こそタガが外れると飲み食いせずに研究し続けたりして、気付いたらぶっ倒れてるタイプ。

 これからの暮らしではきっともう少しその辺りがにじみ出てくるので、サンにもそのうち怒られると思われる。


 ラストで触れられたが、女性の見た目の好みは、ナギの人間の姿がドストライクである。ただしそれがナギに見抜かれていたのが腹立たしいので、決して認めない。

 ナギに対しては一番遠慮なしに接している。男女問わずに相手へ手を出すようなタイプではないが、ナギとは取っ組み合いの喧嘩をしかねない。


 サンにはとても感謝しているが、その感情がどういうものなのかは自分でも気付いていないし、たぶん恋愛感情にまではまだ至っていない。






サン

本名:サンカ・リーリウム(讃花・百合)


 四大名家が一つ、リーリウム家の長女。

 基本的にこの世界では名前を漢字変換できるのだが、四大名家の姓は諸事情によりラテン語である。


 希有な『精霊に愛される者』であり、聖女アンゼローザの先祖返り。

 肩書も性質も綺羅びやかなのに、学校から逃げ出して史学会に単身乗り込んだ辺り、なかなか肝が据わったじゃじゃ馬娘である。社交界では少々変わり者扱いされている。

 とはいえ立ち回りは上手いので、社交界でも評判は良いし、本当に変人扱いされているわけではない。ちょっとお転婆で変わってるわね程度。


 因みにリーリウム家の現当主は、彼女の父親ではなく、既に年の離れた彼女の兄に代替わりしている。兄については、まあいろいろありまして、今回彼女がやらかしたことは主に兄のせい。

 父親が当主のままだったら、リーリウム家はたぶん彼女を王家に嫁がせようなんて考えてなかったし、きっとパパは正規のルートで本当に天文連合あたりに研修に行かせてくれてたと思う。

 長くなるので書かないけど、実はいろいろあるリーリウム家。


 ラストで言っていたが、密かにタンフウのファンだった。

 天文連合に彼がいることも当然知ってはいたが、建前「知識がないから」本音「推しと同じ場所で働くなんてむり」という理由もあり史学会に行った。交流が始まってからも最初はだいぶ内心でどぎまぎしてた。


 因みにちゃんと歴史も好きなので大丈夫。

 天文学は彼女にとって純粋な好奇心だったが、史学は今後自分が生きていく上での立ち回りを過去から学びたいという、実用的な理由も含まれていた。なお政治学を避けたのは、流石に政治学ギルドだと自分のことがバレそうだから。

 またそれに加えて、自分の先祖であるアンゼローザと隠された歴史について、自分の手で解き明かしたいという野望もあったもよう。ただそっちの目的については、日常が楽しすぎて割と忘れていた。


 ツヅキには絶大な信頼を置いている。子どもの頃は彼のことが好きだったが、立場をわきまえて表には出さないように気をつけていた。彼が騎士にならないと知った時に恋愛感情には整理をつけており、今は信頼できる幼なじみとして接している。

 つまり当時は両片思いだった。君たち……。


 ユーシュのことはいろいろな意味で警戒しようとしている。が、なんだかんだ気は許してしまっている。






ユーシュ

表の本名:ユーシュ・ケラスス(優珠・桜)

裏の本名:ジャキル・ユリエイシュー・シリウス・ジェイ


 四大名家のケラスス家かつ、裏社会をとりしきるジェイ家の御曹司。

 天文連合に仮登録で所属。


 裏の本名がクッソ長いのは、この世界の「本名を死神に知られると命を持って行かれる」というような迷信による。

 そのためジェイ家のように後ろ暗いところのある家や、早逝した子どもを持つ親などは、覚えられにくい長い名前をつける傾向にある。


 彼については、途中でさすがに「君いろいろ盛りすぎじゃない?」と書きながらつっこんでいたが、既に彼というキャラクターが作者の中で完全にそういうことになっていたのでそのまま突き進んだ。

 本人も言っていたが、彼のバックグラウンドを語ると本一冊分レベルになってしまうので逆にあまり語れない。

 ケラススではなくジェイにて育てられた人間。しかしいろいろあってジェイとは決別した後、天文連合に半ば強引に居座り始めた。

 ジェイ家の継承者として育てられたので、そちらの知識や技術は一流である。もしツヅキとやりあった場合、正面からでは勝てないが、なんでもありのルールなら彼が勝つ。


 ぶっちゃけると国王陛下ユウゼバードの息子である。本作のかわいそう筆頭である皇太子殿下は年の離れた異母兄にあたる。

 本当は、彼がセイジュらを率いて皇太子の精霊を祓う際、盛大に皇太子にビビられたり国王に裏で密かに根回しする場面も書こうと思っていたが、いろいろ長くなりすぎるし遊びすぎるので割愛した。


 超絶シスコン。

 世の中の九割のことをどうでもいいと思っているが、大切な存在に対しては過保護。これまで大切な存在はザザだけだったが、タンフウとサンももれなくそのポジションになりつつある。

 基本はナイフを突きつけられても動じない鋼のメンタルだが、大切なこの三人がどうにかなるのだけは本当に耐えられない。途端に硝子のハートになる。

 他の研究所メンバーや、ジジとヴィヴィのことは信頼のカテゴリ。あれでもジジのことは信頼している。


 最初はお嬢様のことを少々疎んじていたが、上記のとおり、苛々していた=無関心ではなかった時点で少し脈ありなのである。面倒だな君。

 ラストでは、サンへの感情を薄々自覚している。ただし自分の事情に彼女を巻き込みたくないので、ちょっかいは出しても決して手は出さないし、一生その気持ちを伝えるつもりもない。

 何もないならね。






ツヅキ

本名:ツヅキ・ハクトー(都月・白刀)


 リーリウム家に仕える騎士の家系、ハクトー家の次男。

 天文連合に所属。


 作中ではあまり見えてこないが、頭も切れるし剣の腕もかなりたつ。

 かつては王家専属の近衛兵を志願していたが、尊敬する人物の名にアンゼローザの血を引くサンの名を挙げてしまったため、思想に難ありとして試験に落とされる。それさえなければ確実に合格していた。


 近衛兵に志願したのは、当時サンのことを好きだったため、劣情を抱いたまま騎士になれないという理由で辞退したためである。ほんとお嬢様好きだな。

 なお今は、サンのことは慕ってはいるが折り合いをつけており、一応恋愛感情ではないもよう。ただし手を出す奴は斬る。


 実は少々、精神的に弱い面がある。

 青い髪なのは天然ではない。元々は黒髪だったが、近衛兵に落ちたときに精神的なストレスから白髪になってしまい、青く染めている。

 どうしてわざわざ目立つ青なのかといえば、昔サンに青が似合うと言われたためである。お前ほんとお嬢様好きだな。


 彼の過去にまつわるあれこれは、大人の事情(長くなりすぎる)により盛大にカットされた。よって他のキャラクターよりあまり触れられなかったので、少し申し訳なく思っている。


 子どもの頃、避暑地ルイーザでフウカと交流があった。本人は一切覚えていないが、ショウセツとも会ったことがある。

 これはツヅキが薄情だからではなく、基本的に当時こいつはサンのことしか考えていなかったからである。お前ほんと以下略。

 なお当時、フウカはツヅキのことを好きだったが、彼は驚きの鈍感力でフラグを全てへし折っている。

 フウカがアグレッシブに育ってしまったのと、セツが容赦なくフウカに背負い投げされるのは、半分くらい彼のせいである。罪つくりめ。






ショウセツ

本名:ハクレン(白蓮)

現名:ショウセツ(晶雪)


 高級娼婦モクレン(木蓮)の一人息子。蔑称「マグノリアの毒夫」。

 史学会所属。


 父親はサンの叔父であり、血縁上は従兄弟にあたる。

 ただし私生児であり、戸籍がない。


 生まれが生まれなのでなかなか壮絶な幼少期を送ってきた。タンフウを悲惨と表現するなら、彼はそれ通り越してエグい。

 母親は貴族を相手取った高級娼婦だったので、彼が生まれるまでは結構いい生活をしていたのだが、母親がハクレン(ショウセツ)を身ごもった際、世間へ露見するのを恐れた父親に徹底的に排斥された。流産させるつもりだったらしいが、無事に彼が生まれたため、渋々離れた場所に粗末な小屋を作りそこに追いやった。

 つまり父親が諸悪の根源であり、彼は父親を盛大に嫌っている。


 女手一つで、母親は苦労しつつも慈しみながらショウセツを育てたが、無理がたたって彼が子どものうちに死去。以後は一人で暮らしてきた。

 ちょいちょい本編でも匂わせているが、母親が亡くなった後、彼もまた貴族相手に男女問わず身体を売って生活をしていた。その結果、件の悪名を負うこととなるが、もっぱら客側の逆恨みが原因であり、彼が意図して家庭を壊したことはほとんどない。なまじ美人で人心掌握の術を心得ていた……割に、人の悪意にまだ鈍感で情を捨てられなかったから悪かった。


 唯一の慰みは本を読むことで、良心的な客からは本を借りたり、楽器などを教わり教養を身につけていた。

 そのうちの一人から学問の楽しさを教わり、キュシャを志すようになる。

 戸籍がないので、彼もユーシュと同様、正規の試験ではなく裏の手段でギルドに入った。上記の貴族の力を借り、仮の戸籍を得て、ショウセツを名を変えてキュシャとなる。


 この辺りの苦労時代のくだりは、フウカを主人公とする外伝『水遊び~』で書きたいなと思っている希望的観測。


 酒場で酔った勢いでフウカのことを話していたが、別れた後もずっと彼女のことを思い続けてきた。

 子ども時代が子ども時代なので、体の繋がりにあまり価値を見出せない。心と体は別と考えており、好きな相手にこそそういうことはしたくないタイプ。

 だからめでたくフウカとくっついたとしても、経験は豊富なくせに手はそうそう出せない。たぶんフウカの方から壁ドンされる。






セイジュ

本名:セイジュ(聖樹)


 風精シルフ憑き。

 史学会所属。


 彼もまたツヅキと同様、事情については本編でほとんど触れられなかった。話の展開上、触れどころがなかったともいう……。


 田舎でのんびり暮らしていたが、自宅近くに落下した隕石の影響で幼少期に風精シルフ憑きとなる。幼心にも恐ろしいものと認識したようで、その事実はごく少数の人間を除き、家族にも伏せられた。

 風精憑きのことは周りに隠して成長するが、村で起こったとある事件で、巻き込まれそうになった人を救うために、風精の能力を使ってしまう。彼の力で犠牲者はなく事なきを得たものの、実の母親や姉妹たちに「気持ち悪い」と化物扱いされて捨てられ、地元を追われることとなった。


 そのため、女性全般が苦手というか恐怖の対象であった。

 しかし現在では、諸事情により「どう接したらいいかよく分からない」程度にまで緩和されている。


 ところで終章にて彼は「一人二人、理解してくれる人がいれば、それ以上のことは望まなかった」と語っている。

 まるで一般論みたいにそれっぽく言っているが、彼の理解者はショウセツの他にもう一人いた。

 それが前述した諸事情こと、彼の女性恐怖症をおおむね治した人物である。セイジュにとっては妹のような救世主のような存在。

 この辺は長くなるので割愛するが、そんな彼の救世主が主人公でありセイジュの過去が垣間見られる外伝『緑舞い~』いつか書けたら良いなと思ってはいる。


 ラストで、サンの他にも何人か女性キュシャ候補がいると書いたが、実はその中にセイジュのその子もちゃっかりおり、近々彼らの研究所に配属される手筈になっている。

 そんなわけでセイジュには、ちゃっかりお相手役がいる。

 それなのに3章2話でのあの発言である。お前ほんとそういうとこだよ。






ザザ(表の名前:ユーカ・ケラスス/裏?の名前:エリザベス)

ジジ(裏?の名前:ジルベール)

ヴィヴィ(裏?の名前:ヴィルジリオ)


 怪盗ジーザ三人組。ジェイ家の人間だが、立ち位置は少々特殊である。

 ザザはユーシュの妹。他の二人は血がつながっていない。


 最後の最後での登場のくせ、このキャラの濃さから察している人はいるかもしれないが、単なるモブではない。

 いつか書くかもしれない姉妹作『詩唄いアニミリア』の主人公ズである。


 本当はこの三人、上記キュシャたちに匹敵するような能力があるんだけど、ちょっと目立ちすぎてしまうので、本作では抑えに抑えた。

 別の話では、もう少し活躍するのではないでしょうか(ぼんやり)。






フウカ

本名:フウカ・ミカゼ(風花・深風)

偽名:シースィ(止水)


 シナドの娘でありタンフウの妹。

 水精ウンディーネ憑き。


 サンの影武者として育てられてきた。彼女の影武者ゆえ、学も武も徹底的に仕込まれている。強い。

 貴族の作法も話し方も一通り身につけているが、素はもうちょっと粗野で、少々男勝り。気の許した相手にはすぐに手が出る。


 昔はツヅキのことが好きだったり、ショウセツのことは気に食わなかったけど紆余曲折を経て最終的には彼のことを思っていたり、そんな感じの過去である。

 彼女の過去については前述した外伝『水遊び~』で書きたいとは思っている。


 余談だが、彼女がタンフウを兄として慕っていられるのは、実はセツのおかげである。

 養親に引き取られた時、タンフウは頻繁に手紙を書いていたが、全て養親に隠されていた。そのため彼女は一時期、兄にも見捨てられたと思いこんでいた。

 しかしセツがその手紙を見つけ出し誤解を解いてくれたため、フウカはタンフウのことをちゃんと慕っていられた、という経緯がある。

 もしセツがいなかったら、感動の再会の場面で、タンフウはもれなくフウカにぶん投げられていた。タンフウはセツに感謝すべき。






 他にも何人かいるけど、メイン陣としてこの辺で。

 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

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風巡りアカデミカ 佐久良 明兎 @akito39

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