笑えて泣けてキュンとする。少女漫画のような王道ラブコメ

ヒロインの龍宮棘(たつみや・いばら)は、医療用コールドスリープで14年間の眠りについていた、見た目16歳、戸籍年齢30歳の女子高生。眠っている間に友達は大人になり、親は離婚・再婚。家族も変わっている。学校にも家にも馴染めず、夜の街をさまよっていた棘は、同じ学校に通うイケメン御曹司、桐生輝明と出会う。一見、完璧な彼も、じつは問題を抱えていて。ワケアリな2人は次第に惹かれ合っていく——。

これぞラブコメ、というお手本のような作品だと思います。

コールドスリープした結果起こることが本当によく考えられていて、それが物語のシリアスな面を支えていく。それでいて、コメディの基本線は崩さない。話が重くなりすぎる前にスッと笑いに戻す。そのバランスが絶妙で、ずっと楽しく読めました。

また、ガラの悪い連中からの救出、壁ドン、クラスメイトたちが見ている前でのエスケープ……など、女子のヒロイン願望を満たすポイントが、かゆいところに手が届くように押さえられていて、少女漫画の原作としても人気が出そう、と感じました。

孤独を抱え、心にトゲを出していた棘が、桐生君の愛に触れて素直になっていく。それによって、家族の問題も少しずつ解決に向かっていく。その展開が温かい。

笑えて泣けてキュンとする。オススメの王道ラブコメです。

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