さよならは言わない。もう一度、キミに会うために。

幼い頃の彼女と、高校生になった今の彼女。そのどちらも「彼女」であり、どちらも夏男にとって、かけがえのない人だということがその美しい文章で紡がれる作品です。
「さよならは言えなかった」という夏男のセリフが、好きだという気持ちを含んでいるようで、心にするりと入って来ました。
青春は甘いだけじゃない。でも、その苦味すらも、振り返ればかけがえのない思い出になるのでしょう。
とても良い、洗練された「苦味」を味わえる傑作です。