だいっきらいなそのこえで

これは、今よりも少しだけ未来で、今よりも少しだけ生きやすい世界でのこと。
仲の悪い親戚同士である八杉 唄と中穂
吉良斗は、何時も通り口喧嘩の果てに殴り合いと、二人の両親も肩をすくめるほどの暴れ具合を見せつけていた。
一瞬だけみせた吉良斗の隙をつき、唄は吉良斗を思いきり殴った。
それは、何時もふたりが暗黙の了解のもと決めている範囲を、遥かに逸脱したものだった。

唄が原因で、吉良斗は声を失ってしまう。

なんとか移植で声帯は完治するものの、長らく声を出せなかったせいで吉良斗は声帯を使うことができなくなった。

「もう、君には届かないんだろうけど」

心を閉ざした少年と、ごめんなさいをいいたい少女の、バッドエンドの先のお話。