人は誰もがカルマを抱いて生きている

 カルマは前世から引き継いだものとして語られがちですが、現在の行為の結果、来世へ向けて生じるものでもあるはず。

 ミコトとサクラには、人としての欲望を追いかけることで身体的心理的カルマは生じる。
 タケルとの出会いで思い出した前世のカルマともども、蛇のタトゥーとして刻んで「前世、現世問わずに自分のカルマを背負う覚悟」をミコトは示したように感じました。

 前世のカルマをミコトに吐き出し心理的な負担をタケルは軽くした。しかし、欲望を生じさせ新たなカルマを生む起点ともなった。、

 サクラはまったく無自覚のまま奔放に生き、カルマを積み重ねている。

 漠然とだけど、意識してカルマを背負うミコト。
 前世のは意識したけれど、現世のには無意識なタケル。
 前世も現世もカルマに無意識なサクラ。

 カルマを巡る三者三様の姿がミコトを中心とした一万字程度の短編に盛り込まれている。

 とても興味深く、ミコトの格好良さとともに印象的な作品でした。

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