聖夜の通夜

リアルに身につまされる話です

おまえは幸せだ、と押し付けられるように言われても、そうなのかな、と思っている人は多いと思います
そう思えないことが罪とさえ思わされることもあります

人生が幸せを追い求める営みであるとするならば
幸せ、というものは一体何か

子供がいる身として色々考え込まされました

ありがとうございます

主人公は葬儀社につとめる女性。
愛想がないと思われ、自覚もしています。
モテ期がきているのか、三人の男性と付き合っているけれど
幸せを感じられません。
まわりで働いている人は重荷を背負って大変そう、でも充実してそう。
むしろうらやましいくらい。

そんな状況の中、聖夜の通夜があります。
かつての恩師が亡くなったのです。
ライバルの葬儀社での通夜に出席、業界人の目で観察します。
葬儀を執り行う僧侶は、主人公がクレーマー住職と思っている
既知の僧でした。

主人公が小説の中で変化し、世界の見方、生き方も変える。
短い小説の中で鮮やかなお手並みでございました。

人は、求められるだけでも、求めるだけでも成り立たない。
気づく心こそが思慮深さだ。そして、思慮は他人にも、自分にも働く。
冠婚葬祭は、誰かのために行う。
誰かのために行うのを理由にして、自分に働く思慮を欠いては……。