いつかまた――
切なすぎる主人公の願い。
水色の切符を手に入れたら、フォルクローロの街に行けるのなら、きっと私は母とあの気動車に乗るのだろう。
そして主人公とおんなじことを願うのだろう。
それでも、時は止まらない。止まってくれない。
なんて、残酷。
だけど、街で希海が言っていた。
「きっと希望に繋がる言葉が書いてあるんだね」
きっと、私たちはその希望を見つけださなくてはいけないのだと、そう思いました。
時の流れと人の心を繊細に描いた、星崎先生ならではの美しい物語。
深い悲しみを抱えて、それでも毎日笑っている―そんな毎日の中で、少しだけ肩の力を抜いてくれる、優しい物語です。
この作品に、出会えて良かった。そう思える一作。
「過去との和解」をテーマに描かれる短編三部作の内の一作。
やはりこの作者様が生み出す空気感は、言葉では言い表せなかった。
ノスタルジック・ファンタジーの巨匠、恩田陸さんの初期作品に匹敵する世界観を描ききっている。その言葉の選び方とか、言葉の並べ方とか、とにかく最後まで研ぎ澄まされていて、凝っている。
主人公は電車で旅をする。主人公が持っていた空色の切符は、「どこまでも行ける切符」だった。しかし少女に導かれるまま下車し、神社に迷い込む。そこは過去との邂逅の場所のように感じられた。多くの人が亡くなったことで建てられたであろう、文字の読めない石碑。左手で結んだ赤い紐。全てが示唆的だった。そして、全てがラストにつながる伏線でもあった。
再び乗り込んだ電車。
果たして、少女は――。
胸に迫りくる切なくも悲しく、そして主人公が秘めた温かな想い。
絶対にこの三部作は読むべきだ。
是非、是非、御一読ください。