時代を映し出す「色」

 戦争の時代、暗闇の中を人々が歩んでいただけに、「色」は人々の心を明るく照らす存在だったのかもしれません。だからこそ、主人公はトランクを抱えて絵の具を作って来た商人の意志を受け取り、「色」を守って来たのだと思います。

 時代が移り変わると共に、「色」が再び鮮やかに解き放たれていきましたが、寧ろ色がなかったような戦時中の方がそれを大切にしてきたような感覚があります。「色」を通して、その時生きてきた人々の生き様や、日々当たり前にあるものの有難さを改めて感じさせてくれる作品です。 

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