ひとりの魔女の物語。それ以外の何物でもないけども。

この作品を一言で言うなら、圧巻、と言う言葉が適切だと思います。
最初から最後までテンポが良く、無駄なシーンがどこにもありません。

私はこの話をライラと言う、ひとりの魔女の物語として読みました。
他の魔女や人間と関わることにより、“自分”という魔女を理解し、そして受け入れるライラ。そこのリアリティと言いますか、感慨深さと言いますか。素敵です。
ライラの一人称で語られる物語ですが、ですます調で皮肉屋でツンデレなところがこの作品の味を出しています。最初はこの語り口調に違和感を覚える人もいるかもしれませんが、読み進めていくうちにそれは馴染み、それがライラらしさだと感じます。

人との関わりの良い面と悪い面をどちらも書いた素晴らしい作品だと思います。
登場人物の心情の移り変わりも丁寧に書かれていて、置いていかれることはありません。

“魔女”という設定や世界の設定も好きです。

是非、多くの人に読んでほしい作品です。