花冬月見の神頼み

「あなたが人に嫌われるのは、『私たちに好かれるから』なんですーー」

　そう言ってそいつは気恥ずかしそうにうつむいた。

　人の家に乗り込んできて何を言うかと思えば、遠回しに告白でもしているんじゃないかと勘違いしそうな調子でそいつは語り始める。

　そこで聞いた話を、俺は最初信じなかったーーいや誰だって、初対面の奴にそんな話をされて信じるはずはない。

　しかし、あることをきっかけに俺はその言葉の意味を知ることになる。

　俺の日常は、もはや日常ではなくなっていてーー