舞台は江戸時代のとある武家屋敷。長男である宇兵衛は、ある夜不快な怪異と遭遇する。正体は何なのか?誰に相談しても、「寝ぼけていた」と言われるばかりです。しかし、武家屋敷の過去を調べてみても、祈祷呪術師に視てもらっても、何もありません。本当に自分の気のせいなのか?それとも誰かが仕組んだ罠なのか?幽霊や妖怪といった存在が、今よりも恐れられていたこの時代と、生々しい怪異の描写が非常にマッチしていて、まさに身も凍る――そんなお話です。※この度は「お化け企画⑤」にご参加いただいて誠にありがとうございます。
人間が徐々に壊れていく過程の描写が秀逸でした。
他者から見放された人間は、簡単に狂う。その狂いこそが人を脅かし、驚かし、恐ろしくする。淡々と積み上げられる狂気への描写は、その空気に触れられるのではと思うほどに臭い立つ。その淡々とした描写こそが、読者の心をざわめかせる。
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