第8話 へるす&ぷれいしゃる・えでゅけぃしょん? 【適削・連鎖鋸】
へるす&ぷれいしゃる・えでゅけぃしょん? =保健体育
子供が嫌がる虐待とも取れる行為をする、プルチネッラのような人物は、実はこの世には非常に多い。そして、その事を咎められることはなく、それを生業とすることすら可能とされている。過去を遡り、現在に至っても、そして遠い未来においても、それは不変と思われる。
時に、幼い子供が大声で泣けど叫べど、全力で嫌がり暴れ抗い続けようとも押さえつけ、その
傷付けた後、アクマでも甘やかし、その警戒心を緩めた後、再度それは繰り返されるという。幾度も騙された後、いつしか同じ思いを味わわせる事に戸惑いを無くすことになろうとは、誰も知る由もない。
子供らが大声で嫌がっても、力の限り本気で抗っても、泣き叫ぶほどに痛がっても、それは行われる。それが可愛いさからか、終了後にはなおさらの笑顔を浮かべている
ただし、実行した
ただし、実行される側からすると、優しかった
そして、それをされた子等が
その時の
いかな霊長類最強であろうと、百獣の王を称する者であろうと、その事実を前にした時、負けを認め、絶望せざるをえないだろう。
そして、どんなに偉くなったとしても、その行為を止めることは・・・難しい。たとえ、切り札の異名を持つ傍若無人とも捉えられる
そして、それらの行いは当然、
【要するに、現代医療を持ってしても根治が難しい、誰もが知るであろう、慢性の不治の病がテーマ】
・・・ ・・・ ・・・
【
唄の
対葬の
絶叫が木霊する坑道。象牙色をした白と黒の鍵盤の如きそれを、その一本一本を丁寧に優しく、ほっそりとしていて尚且、ねっぷりとした指先で一本一本を押して、その反応を確かめるニューロニスト。その指から伝わる感触と大気を震わせる絶叫を、心地よさそうに確かめている。周囲からは血が
その白き象牙質なそれは、
時に拷問具として用いられることでも知られる
ニューロニスト・ペインキルは、笑いながら大声で唄う。
「裂いたぁあ~、割いたぁあ~、ぷ~るちねっらが
これまでの
一口サイズの生物なら何でも。そのため、とある生物は素材としての魅力は大いに欠けるが、下拵えが非常に容易なため、食材としては非常に好まれていたのだが、それらを口にすることは、魔導王が定めた法律に反することとなってしまったため、自粛されることとなった。
その嗜好を代替する品として、それまでにはなかった味覚に興味が向けられた結果とその代償。
「
謎に満ちた振動音とともに、空気が揺れる。
プルチネッラが、
「どォ~のォ~歯ァ~ヮをォ~みィ~てェ~もォ~、
その結果として、それまでに巨人たちにはなかった病気が蔓延した。その名は、不治の病【虫歯】。
霜の巨人達は、【真っ赤】に染めた氷雪がご馳走だった時の感覚で、いつものようにむしゃむしゃと食べまくった結果、虫歯が蔓延した。
魔法で虫歯を治癒することも可能ではあるのだが、一度でも冒された虫歯には無力。髪を切ったが、髪型が気に入らないからと治癒魔法を掛けても元の髪型には戻らないように、虫歯も直後は表面的には直せても、元を絶たねば余計に酷くなってしまう。
結局は患部をゴリ押しで削り去り、充填剤を詰めることで完治したと思われがちだが、実はそれは対症療法の一環にしかあらず、その後も再発の危険を常にはらむ延命治療でしかないことを知る者は・・・まだ少ない。
そして、歯磨きを怠るとこうなるという実演が示され、アインズ・ウール・ゴウン魔導王国の麾下たるエ・ランテルでは、虫歯になる者が激減した。その後、帝国でも実演されてから、歯磨きを怠るものは激減したという。
副次的な効果として、公的な医療費に当てる予算も、ある程度は浮いたという。
ちなみに、余談ではあるが、豪放磊落を地で行く、あのゼンベル・ググーが最も恐れ
サメやワニの歯は、半永久的に生え替わり続ける。
だが、虫歯になれば抜いてしまうしかなく、その歯を抜いたとしても、また別の歯が虫歯に蝕まれ続ける。その連鎖は容易に止まることなく続くために、ひときわ熱心に歯磨きを推奨し、
一応、砂糖などの糖類を一切食べなければ、虫歯にはならないとされている。
だが、一度でも禁断の蜜の数多の味を知ってしまえば、その誘惑から逃れられるものは・・・極僅かだと言えるだろう。
ニューロニスト&プルチネッラが敢行する【虫歯】治療。その虫歯予防を目的として作成されたポスターは、この異世界に凄まじい効果を発揮したという。
【虫歯になったら、いらっしゃあぃ。や・さ・し・くぅ、治してぇ、あ、げ、ちゃ、う
如何な傷病であろうともゴッドハンドを振るい、根治不能な症例を覆せる名医であろうと、重症な傷病患者も意識があったならば、全力で両足で立って走って逃げ出しそうな【漢女医師】ニューロニスト。
【
どう見ても、どこから見ても、治す側ではなく、蝕む側にしか見えないのはご愛嬌だろう。
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