巡り迷いまた巡り逢う。人も星も結ばれた縁も。

高度に発展した月と、捨て置かれるようにして荒廃した地球。
その二つの星をめぐるSF群像劇です。

地球で生まれ育った子どもであるナギ、サク、サクの親であり村人たちから一線引かれていたミカ、対して月で生まれ育ったトワ。
彼らの視点を軸にして語られる物語は、一人一人の立場や心情をしっかりと描きつつ、現在と過去を往き来し、縁を複雑にしながらやがて未来へと向いていきます。

ある場所で、ある時間で種を蒔かれた縁は、たとえ離れ離れになっても時を経て芽を吹き、やがて巡って「希望」として結実します。

「めぐり星の迷い子たち」。そのタイトルの意味を、読みながら識るでしょう。そして迷い子たちが迷いながらも歩き続ける姿に、明るい未来を願わずにはいられません。

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