凍りついた暗闇に取り残され——ただ手を伸ばし、あなたの熱を待っている。

兄と妹、姉と弟。対称的で対照的な二つの家族と、彼らを取り巻く友人たちが複雑に織りなす心模様を丁寧に描きあげた、ドラマティックな物語。
幼少時代の虐待と母親に降りかかった不幸。そのすべてを負って傷だらけになった心に翻弄される少女と、彼女を守ろうと必死に尽くす少年が、物語の主軸になっていきます。

優しく弱い楓と、優しく脆い瑠衣。
楓の傷はいまだ深く、同い年の瑠衣はそばで支える以外にすべを持たない。
曖昧で危ういその関係は、しかし止まらない時の流れに容赦なく浸食され、望む望まざるに関わらず変化を促されてゆくのです。
彼らより少し歳上である兄と姉も、傷の深さは変わりなく。
新たな人間関係、少しずつ進んでゆくそれぞれの想い、そして願いつつも遠すぎる希望。心惑い、手探りで道を探す彼らの心情と生き様はひどく真に迫っていて、読者の気持ちを物語の中へ連れ去っていくでしょう。

いまだ出口は見えず、それでも優しさと愛にあふれた彼女ら彼らがいつかは、穏やかな笑顔を取り戻せることを願いつつ。
繊細でリアリティにあふれる物語の行く末を、一緒に見届けてみませんか?

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