このストーリーは「最初の1文」と「最後の1文」が全く同じ。なのに、なのに、なのにだ!同じ文に見えないとはどういうことだ?正直3回見直した。1行目をコピペしてまで最後の行を見た。なにこれ、同じじゃん……。モノクロームでつづられた最初の一行は、鮮やかな色彩を持ってラストに再登場する。もっと大勢の人に読まれるべきだと思った。
夢はきっと叶うと信じ、お気に入りの曲を自分の応援ソングにしていたはずが、いつしかその曲は「呪詛」のように自分を縛り付けていく。「呪詛」の苦しみから逃れようとした主人公がとった行動とは……。珠玉の掌編です。「そして冒頭へ戻る」というよくあるハズの形が、とても綺麗に、そして心地よい読後感へと繋がっています。捨てる神あれば拾う神ありのお話とも言えるけれど、よくあるそれだけのお話ではありません。拾われてからの主人公の描かれていない部分に想いを馳せて欲しくなる。そんな物語です。素敵です、とっても。
劇団員がお気に入りの曲を聞いて演劇に臨む話です。新しいヘッドホン、古臭いイヤホン、確かに成功とも取れますが、確実な保証はありません。タイトルからしても、どちらとも、取れる意味合いが想像の余地を残してさらに楽しませてくれます。だからこその1200文字、何度も楽しませて頂きました。おすすめです!
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