気づけば時間を盗まれていること間違いなし!

この作品を読んだ時、まず登場人物たちのクセの強さに驚き、次に群像劇としてのクオリティの高さに驚き、最後にその圧倒的なまでのエンタメ性に驚きました。
そう、面白いんですよ。この作品はただひたすらに面白い。
登場人物はみなどこかしら変なんですが、それでも(もしくはだからこそ)憎めない。それはきっと彼らのぶっ飛んだ個性だけでなく、行動から垣間見える芯の強さや、彼らなりの人生哲学を感じるからなのでしょう。
悲劇を喜劇にひっくり返すのは、いつだって『信念のあるバカ』の役目と決まってますから。
そんな『信念のあるバカ』が九人も出てくるこの群像劇コメディは、これ以上ない面白さのエンターテイメント作品だと断言できます。

しかもですね。その九人の内の一人はタイトルにもある通り『怪盗』なんですよ。
あ、いえ、すいません少し抜けていました。怪盗ではなく『怪盗紳士』でしたね。失敬。

怪盗紳士ランバーン。彼に盗めないものはありません。
そうですね。たとえば――やることなすこと上手くいかず、ため息が三日月を覆い隠してしまいそうな眠れない夜。そんな時は思い切って、怪盗紳士の活躍を覗いてみてはどうでしょうか。
きっとランバーンはあなたの憂鬱を、眠れぬ夜ごと盗み出してくれるでしょう。
怪盗に盗めないものはないのですから。

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