うっかり交際相手の女性を殺害してしまった兄のために、半ば呆れながらも死体を片付けてあげる弟のお話。
面白かった〜〜〜! えーっなにこれ好き……すっごい好き……。
彼女の死体をどうにかする、本当にただそれだけのお話のはずなんですけれど、もう読んでいて単純に楽しいし面白い。
なんでしょうかこのものすごい読み出。
語り口というか視点いうか、言い回しや行間に滲み出る質感、この主人公自身の手触りのようなものが心地よくて、それだけでぐいぐい惹きつけられてしまいます。
あとはもう、ただ単純に登場人物が大好き。
ハイスペックなはずなのにポンコツな限界ブラコンお兄ちゃんに、それをわりと普通に受け止めてしまえる弟。
人物造形そのものも素敵なのですけれど、その魅力を浮き彫りにしていく過程というか、物語を読み進める行為の中にその魅力があるところがもう最高でした。
このお話として読んだからこそ彼らをこんなに好きになれた、という実感。本当に良い……。
なかなか上手く説明できないんですけど、とにかく大好きな作品です。
とても面白いのでぜひとも読んでみてください。
仲良し兄弟が好きな方におすすめ!
この作品には第五回こむら川朗読小説大賞参加作品を片っ端から読んでいる最中に出会いました。
これが何を意味するのかというと……作品ページをクリックした時点で自分の中で「読むこと」が確定しているので、あらすじや概要欄に見向きもせず本文に目を通すことがあるということです。
その結果、予想外の展開に遭遇し、テンションがぶち上がりました。ラッキー。
作品を通して漂う雰囲気が最初から最後までブレないのが最高でした。
仲のいい兄弟の日常で起きたちょっとしたイベント。そんなゆるいトーンで始まる物語ですが、途中開示される情報で「ちょっとしたどころか重大事件じゃん」と気づかされます。しかし、彼らのやり取りも、風景描写も、語りのトーンも、相変わらずの雰囲気のまま。なんか、絶妙にゆるい。深刻さがない。どう考えてもヤバいことになっているのに「ま、こういう日もあるよね」くらいの勢いで話が進んでいきます。そのアンバランスさがクセになる。最高でした。
あと、これを読んでふと思ったたんですけど、もしかしたら自分、頼りない兄としっかりした弟の組み合わせが結構好きなのかもしれない。
新たな気づきを与えてくれたことに感謝します。