めそめそ泣くお兄ちゃんのために死体を埋めよう

 うっかり交際相手の女性を殺害してしまった兄のために、半ば呆れながらも死体を片付けてあげる弟のお話。

 面白かった〜〜〜! えーっなにこれ好き……すっごい好き……。
 彼女の死体をどうにかする、本当にただそれだけのお話のはずなんですけれど、もう読んでいて単純に楽しいし面白い。

 なんでしょうかこのものすごい読み出。
 語り口というか視点いうか、言い回しや行間に滲み出る質感、この主人公自身の手触りのようなものが心地よくて、それだけでぐいぐい惹きつけられてしまいます。

 あとはもう、ただ単純に登場人物が大好き。
 ハイスペックなはずなのにポンコツな限界ブラコンお兄ちゃんに、それをわりと普通に受け止めてしまえる弟。
 人物造形そのものも素敵なのですけれど、その魅力を浮き彫りにしていく過程というか、物語を読み進める行為の中にその魅力があるところがもう最高でした。
 このお話として読んだからこそ彼らをこんなに好きになれた、という実感。本当に良い……。

 なかなか上手く説明できないんですけど、とにかく大好きな作品です。
 とても面白いのでぜひとも読んでみてください。
 仲良し兄弟が好きな方におすすめ!