文字ラジオ・毎日がモルヤン ~君達と華咲く縁・春~

『第三回 文字ラジオ・毎日がモルヤン』 前編




蓮蔵はすくらマコト(以下:マ)「皆様、いかがお過ごしでしょうか。当番組・第三回毎日がモルヤンを進行させていただく、蓮蔵マコトと申します。短い時間ではございますが、皆様の貴重なお時間を頂戴いたします」


メディンサリ(以下:ブ)「かたいな~おい。昂ノ介みたいじゃねぇか、


マ「そうでしょうか。実質、第一回目の当番組は『白の遣い手~一名の天貴人と、七人の中等生達の長い一年~』幕間まくあいそのいちを仕切っていた(※丹布にふ士紅しぐれ)も、丁寧に挨拶をしていたはずです」


火関ほぜき礼衣れい(以下:礼)「……詳しくは、こちらをご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882371403/episodes/1177354054883176758

と、言う所か。失礼、火関礼衣です」


柊扇しゅうおう昂ノ介こうのすけ(以下:昂)「いまさらだろう。そもそも、マコトは会った頃からこの調子で、一年の時から役職も代表委員長だ。集まりの進行も得意だろうに。礼衣に続いて失礼した。柊扇昂ノ介です」


マ「ほら。最後になってしまいましたよ。自己紹介をお願いします」


ブ「あ~、作中ではレクール=メディンサリと名乗っていたブレンです。愛称はブレンなので、ここでもブレンでヨロシクです☆」


礼「……何も言うまい」


昂「ブレンが、それで良いなら通せ」


ブ「スミマセン、☆は悪ノリでした」


マ「では早速ですが、作中に寄せられたご質問の中から選んで、我々からお答えするコーナーとなっております」


ブ「バッサリ切って進行するんだな、マコト」


マ「珍しい場所なので、気分が高揚して口数くちかずが多いようですね。一通目の質問を読み上げる栄誉をお譲りします」


ブ「わ、分かったよ。まぁ、変な茶々入れて悪かったって。コホン、では栄誉をあずかったところで、オフィスレディ・M様からの質問です」


 ―― 彼らは、隠しようもないくらいお金持ちの様子ですが、家業など教えていただきたいです。 ――


昂「俺達が持っている訳ではない」


礼「……昂ノ介の気概としての答えではあるが、質問の答えになっていないだろうに」


昂「む、そうか」


マ「作中では、我々の家の事情までは明かされていませんからね。次作では少々触れられていますが、良い機会でもありますし、この場にいないメンバーも含め順番に説明しましょうか」


礼「……そうだな、明かしたところで“ネタバレ”とやらにはならないだろう」


マ「私の家は作中で少し触れておりましたが、主に電子機器に関する多くの分野で、研究・開発・支援を手掛けるシーエイド・リンツェと言う企業を運営しております」


礼「……俺の所は、通信・情報インフラ関連の『RHグループ』だ。リュリオンでは、トップシェアを張っている」


昂「我が家は、物質・資材・機器・機材に関連する全ての分野に携わる『柊扇重工』を運営させてもらっている。本家筋の青一郎(※在純ありすま青一郎せいいちろう)は、陸海空宙の運輸の主要路を押さえる『RLグループ』の持ち主だ。特筆すべきは、他の経済圏を繋ぐ“街道かいどう”の一部の期間使用権を持っている事だな」


ブ「実際、エグい話だぜ? いくら資産があっても、生産しても安全無事に信用をあずけて、商品を運んで届けてくれる相手が居なけりゃ、どれだけ困るかって事だよ」


マ「ブレンの所は、より切実でしょうね」


ブ「そんなもん、全員だろう? まぁ、オレんは前王朝から続く古い貴族の家系で、人脈と土地のおかげで家業って言うか色々とやらせてもらってるけどさ。主に食料関連かな~。祖父の代から、趣味の食い物の原材料から研究が始まって、両親も続いてるしよ」


昂「少し話が違えば、ルブーレンの王座に就いたかもしれんしな。お祖父様は、先代ルブーレン王の弟君であらせられる。一時的にではあったが、白羽の矢が立てられる寸前だったらしいではないか」


ブレン「止めてくれって、その話はさ。本当、士紅が動いてくれなかったらと思うと、ゾッとするぜ。柄じゃないっての。血統で言やあ、ヨータ(※都長つながヨータ)には勝てないって。あいつ、リュリオン前帝王朝の男系・先例・直系の長男坊だろう? 気楽に出歩いてるし普通の学校に通ってるから、最初こっちがビビったっての」


礼「……家風なのか、安全が担保されているからか、驚くほど自然体だからな」


マ「それを言うならば、千丸ゆきまる咏十えいと)もですね」


ブ「それそれ、それな~。咏十の背景も次作に出て来るけれど、一応言っておくよ。アイツの家は、このモルヤン全土のエネルギー供給の要を押さえている。採掘・製錬・供給・配当・配送などだな」


礼「……独占禁止法に抵触する、などの声が聞こえそうだが、この世界では安全保障上仕方がない事なのだ」


昂「この世界の法や条例について語るには、時間が惜しまれるので割愛させてもらうが、千丸家が運営する千華院倶楽部せんかいんくらぶのほぼ独占している家業がまかり通っているのは、世にも恐ろしい監視と管理が行き渡っているからだ」


ブ「出た、エクストラ・ボス」


マ「ビデオゲーム好きの、ブレンらしい表現ですね。しかし私から申し上げるのなら、それ以上の存在です。士紅の正体や立場は作中で紹介されておりましたが、この世で経済活動をしている公式経済圏こうしきけいざいけんで関わりがないとは言わせない。なのに雲以上の存在三大複合企業トリプル・コングロマリットの一角、グランツァーク財団の重役です」


昂「重役か。重役と言ってしまった方が、ここでは丸く収まるな」


礼「……そうだな。詳しい事は追々とする方が良いだろう。説明ばかりを連ねても、読者様も困るだろう」


マ「では、オフィスレディ・M様のご質問への解答は、ここまでといたしましょう。オフィスレディ・M様、ありがとうございました。それでは、次のご質問へと移ります」


ブ「おう! 何でも来やがれ!」


礼「構えと気概には感心するが、中編へ続くぞ」


ブ「え、えう? あ、そうなの?」


マ「引き続き、お楽しみいただけると幸いです。では中編へご案内します」






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白の遣い手 ~君達と華咲く縁・春~ 八住 とき @convallaria

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