幕間 その一
お手製の絶品プディングとシャドレワーヌ。
「何とか無事、第一の幕を閉じる事が出来ました。皆様いかがでしたか?」
「お~い、士紅。何この亜空間」
「ああ、ヨータか。無理やり寄せるなら、あとがき的な場所」
「へェ。そうなんだ」
「この作者、気に入っている市販作品を読む時、何を楽しみにして居るかって、こういう付録。
嘘予告編や、登場人物達の質疑応答とか。しかも、本編より先に見る始末。
なのでこの際、作者もやってみようと言う暴挙」
「え~、それって人としてど~なんだろ。ネタバレから見ちゃうって事だよな」
「その言い方は止めた方が良いよ。
もしかしたら、作者と同じ趣向の方が、いらっしゃるかもしれないから」
「構わんじゃろ。こんな作者と同じやなんて、そんなもん恥ずかしくて言えるかい。
黙って知らん振りするやろが」
「あ~、おれ知らね~から」
「それでは改めまして。
栄えある第一回の
蒼海学院中等科、一年一組の丹布士紅です」
「同じく、一年四組の在純青一郎です」
「同じく、一年七組、都長ヨータです!」
「何じゃ、この茶番劇。八組、千丸咏十……。もう帰って
「本日は、この四名でお送りします。選抜組全員呼ぶ案もありましたが、さすがに統制が取れ無いので」
「作者が?」
「まあ、そう言う事だな」
「……無視かい」
「な~、ここって、あとがき的な場所なんだろ? おれら四人で第一幕を振り返るって事?」
「その通り」
「んじゃ、さっさと終わらせて、帰るとするかのゥ」
「面白そうな場所に来たのに。折角だから、ゆっくり話そうよ」
「振りが向いたらの」
「お
「お~、用意だけは良いじゃん」
「この幕間は、第一幕の零れ話や、次回の第二幕の予告と、軽めのネタバレを含みますので、御不快な方はここまでと」
「それと、この会話劇方式が苦手な方もだね」
「まぁね。では進めようか」
「は~い!」
「それにしても、急に決めて急に始まったよね。この白の遣い手」
「ほぼ見切り発進の上、投稿サイトのシステム自体手探りで、かなり怯えて居たとか」
「あ~、とにかく十万文字までに区切り付けろって目安な」
「作者、焦ってたね」
「ネタは書き留めて居るが、取捨選択の嵐。第二節では、私が旧庭球部を潰す場面が丸ごと切られて居たり、通話なんかの台詞も割愛された」
「そうだったよねェ。本当は、おれや昂ノ介、礼衣も見学してるはずだったのに、蓋を開けたら終わってたんだもの」
「流れも全然違うし、第二幕へ押し出された話もあるよな~。
なァなァ、砂浜で青春するシーンまだ?」
「諦めろ」
「嘘だろ! おれは夕日に向かって走りたいのに! ブレンと一緒に断然抗議する!」
「諦めろ」
「そう言えば、ブレンのメディンサリって名前が変わっちゃったよね。どうしてなの?」
「その理由は言えないが、ついでに言うと礼衣って名前もな。
他にも、漢字変換で出無かった数名も変更した」
「作者、手ェ抜き過ぎやろが」
「名前って言えばさ~。おれ達の名前に、ルビ振ってないじゃん。
読み方を伝えなくて大丈夫なのかな~。この先出て来る士紅の、お兄さん達の名前。多分読んでもらえないんじゃない?」
「は? 士紅の兄さん達、もう出るんかい」
「登場人物、まだまだ増えるけど大丈夫?」
「作者が何としても書き分けるだろう。今しか自由に書けないんだから」
「小心者のクセに、昔から情報だけは、そこそこフワッと持ってるよな~」
「名前の事だが、特に問い合わせも、支障も無いだろう。
この先、茶会で名前を名乗る場面があるから、そこで明かそうと。作者は考えて居るようだ」
「ただ面倒ってだけやないんかい」
「伝わってないし、盛大にスベってるじゃん。恥ずかしい~。
だいたいさ~、漫画描くためにプロット作ってたのに。漫画描きゃ良いじゃんか」
「そんな事、バラしちゃ駄目だよ」
「こんなの、バラした内に入んないって。
美形のハードル上げ過ぎて、描けなくなったなんて笑い話じゃん」
「おい、ヨータ。後ろ」
「……作者じゃんか! な、何持ってんだよ、その後ろ手に。
え? は? ええ!? 何これ、もう少し先じゃないと出て来ない、絶品プディングと、士紅の所の希少紅茶のカマイアーヴィ・シャドレワーヌ!」
「長い。長いわ」
「さすがに、ヨータの弱点知ってるね」
「そうだな。鞭より飴。飴より絶品プディング」
「咏十。作者の悪口言って、自分も美味しい物を頂戴しようと、してるでしょ」
「……
「でも、悪口は言わない方が良いよ。次の幕、咏十にスポットが行くんだよ?」
「青一郎もやないかい」
「おれは、いつも良い子にしているから問題ないよ」
「怖い怖い」
「……そんな事を言っとる士紅の方が怖いわ。いきなり、あんな大物とシレっと話しとるんやからのゥ」
「それが、この話の善い所であり悪い所」
「そこが問題点だよね。この話の根幹って何? って腑に落ちていない読者様は多いよ?」
「天(貴)人が、青春を感じながら渋々世界を救う話」
「……」
「……」
「……。その通りやしなァ」
「タイトル、少し変更した方が良いね」
「そうだな。丁度、章立ても変える所だったしな」
「ねェ。これって、あとがきコーナーって言うより、言い訳コーナーじゃないの?」
「察してやれ」
「読み飛ばされね~か?」
「覚悟くらいはして居るだろう。
作品を投稿している時点で、一人カーニバル開いて裸踊りを披露する気分だと語ったからな」
「士紅。質問良いかな」
「どうぞ」
「本編で、どこにも説明がなかった事なんだけど。モルヤンでの庭球の参加規定ってどうなっているの?」
「作者の無知と説明不足だな。これは。
モルヤンの庭球界には、プロで活躍出来る、個人戦と団体戦がある。
国家や企業団体が運営する〝ハウス〟と呼ばれる団体に全員が所属し、各種トーナメントに参加し、活動するんだ」
「プロとアマの違いだね」
「学生の地区大会は、もちろん個人で登録し大会に参加出来る。
今回、我々は団体戦、一本で参加して居る」
「んだの」
「大会開始前、規定時間内に当日参加者名簿を提出し、点呼確認。
団体戦は控えを含めて、十六名まで登録出来る。これはプロも同じ。場所や試合消化速度でダブルス1~2、シングルス1~3が前後して行われる事もある」
「うんうん」
「一回戦で勝ち、二回戦へ駒を進めました。メンバー表はリセットされ、大会開始時の登録メンバー内で、二回戦進出者を決める。
規定時間内に、運営本部へ参加者名簿を提出し、点呼を行う」
「一人でも多くのメンバーが参加出来る可能性もあるし、ヨータみたいな負傷者対策にもなるしのゥ」
「旋が話して居た、〝第一部メンバーが嫌がったから、急遽第二部の恩村さん達が参加した〟のは、その規定があればこそ」
「見ている方は楽しいかもね。次回戦は誰がで出るんだろうって」
「まぁな。参加規定については、こんなものかな」
「もう一つ質問良いかな。これも本編で語られていなかったから」
「どうぞ」
「気になる事があるんだ。グランツァークの清掃員の皆さんって、白い作業着なんでしょう? 汚れが目立つから、白は
「汚さ無いよ。
その辺りは、徹底的に教育される。仮に汚れても必ず洗浄し落とす。
グランツァークの威信に懸けてな」
「色んな意味で」
「そう。色々な意味で」
「これって作者が大尊敬している、某大手自動車メーカーの作業着理念と少し似てるね」
「創業者の大ファンだからな。フワッとしか情報持って居ない癖に」
「あ~! 美味かった~。ごちそうさまでした。
いいじゃん。元々白か青で迷ってたんだし、そこまで言い出したら何も書けないじゃん。
好きだから、尊敬しているからって全部許されるワケね~けど、そこは上手く伝えたいし、苦情が来たら誠心誠意、対処させて頂く」
「何じゃ? 知恵の実でも入っとったんか?」
「変に度胸あるもんね。ヨータって」
「……すまん。ワシもう帰るわ。予定が押し始めとる」
「あれ? こんな時間だったのか。義理は果たしたし、大丈夫だよな~」
「進行表なんて、結局は一度も見て居なかったな」
「そんなものだよ。思う通りになる事なんて、何一つ存在しないんだから」
「んだの~」
「この物語も含めて」
「言えてる!」
「それでは、この辺りで失礼します。
新章に入りますが、我々一同も楽しんで頂けるように頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します。在純青一郎でした」
「おれだけ美味しい思いをして、ごめんなさ~い! 都長ヨータでした!」
「ワシの事は構わず、他の奴の応援してやって下さい。千丸咏十でした」
「第一回目の幕間は、これにてお開きとさせて頂きます。
今後とも、お付き合い頂ければ幸いで御座います。
丹布士紅、以上の四名でお送り致しました。
第二の幕が開くまでの間、暫しのお時間を頂戴致します。
我々一同、皆様のお戻りを心よりお待ち申し上げます。ありがとうございました」
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