ひとことに詰め過ぎていますが、間違ってはいません。第一章読了のレビューなので、先に関しては憶測になります。
ただ、物語の持つ物語力が凄い強い。作者さまならではの緻密な設定がぐんぐん生きていく感じ。国に対しても、不思議な感覚を憶えます。
これ、古代中国?
いやいや、トルコの中期?
はたまたアメリカ開拓時代のインディアン族?
そうして気づくのです「異世界である」と。
世界観は大抵が固定されてしまいます。そのほうが安定して物語は進められる。
読者にとっても有り難いですよね。
ただ、この作者の物語は違います。どこか不安定で、「世界を構築する」ところから始まっているから、例を見ない。
私は、それこそが異世界ファンタジーや、ファンタジーの心臓部なのだと、この作品で強く感じました。
今期の応援作の中で、一番最後にレビューしようと決めていました。
それは、やはり引力が強いので、是非みなさまに駆けつけて欲しいから。ちょっとしたキャラの作者の悪戯もありますし、時代背景もしっかりと作られています。
これだけのセカイを脳裏で展開するなんて、ただものじゃぁないですね。
そんな力強く大きく羽ばたきそうな異世界ファンタジーに貴女も引き込まれてみてください。
むろん、これからも読みに通います(*´▽`*)
緻密な設定の上に築かれた壮大で本格的な美しいファンタジーの世界。
それが作者様の特長である流麗かつ重厚な美しい筆致で彩られ、世界観に圧倒されつつ物語にのめり込む楽しさを味わえます。
この世界、レーフは七回の終焉を経て、八度目の世界を構築しました。
眞導都市シザーレ、聖シャンナ正教国、フィーツ・ワイテ帝国。
大陸を横断する「生命の道(ブルド・フィーツ)」で繋がる三つの強国は人間によって築かれた国ですが、歴史が紡がれる中で様々な人間の思惑が複雑に絡み合い、あやふやなバランスの上でなんとか均衡を保っているような状態のようです。
それらの国を取り巻く地方都市があり、また神獸族と呼ばれる謎多き存在が拠点とする天山玄都があり、神獸族やケダモノと呼ばれる脅威など、人間以外の存在がこの世界に関わっています。
そんな世界でも、友情は育まれ、大切な人を思う気持ちは距離を越えて互いの絆を深め合うのですが、ある日突然、八度目の世界崩壊の脅威が牙をむき、人々を渾沌へと陥れていきます。
世界が崩れゆく中、ひときわ存在を輝かせるのが、白く大きく美しき犬(?)、雪河(セツカ)を引き連れた謎の凄絶美形青年、アラーム。
彼と行動を共にするのは、人々の畏怖と尊敬の的でありながらも型破りな八聖、璜準(コウジュン)と彼を慕う三体のマフモフ(もふもふ)達。
最新話では、国や都市が相次いで襲撃を受ける中、その意志が未だフーザ(頭巾)に覆われたアラームと、死を覚悟して道を歩む璜準一行が行動を共にして旅する場面となっています。
重厚でシリアスな背景の中でも璜準のキャラクターやアラームと雪河のやり取りがくすりと笑えるシーンを作り出し、それぞれの思惑をもって行動しているらしき複数の人物の謎が散りばめられていて、ストーリーはこれからが核心へと向かっていきそうなところです。
読み応えあるファンタジーの世界にどっぷり浸かって濃厚な読書体験を楽しみたい方には老若男女問わず大変おすすめの作品です!