作者様の今までのイメージは、硬質で崇高なファンタジー作家様という風に感じていたのですが、それを良い意味で覆す作品です。
少し年の離れた、そしてお互い、様々な人生経験を重ねたであろう落ち着いた恋人同士を描いています。
それは例えるならば、若い頃の自分の気持ち最優先の、太陽みたいなキラキラした煌めきではなく、静かに水が零れ落ちるような、穏やかな心の揺らめき。
相手を想うが故に、年上の彼女は、二人の未来を描くことを躊躇ったり、年下とはいえ、年齢を重ねた彼ならではの優しさなど……
柔らかな水のような描写が、心地良く、美しいです。
洗練された、柔らかな甘さの恋愛模様をぜひ、ご堪能ください。