呑気なタイトルやキャッチコピーから始まる、いきなりの殺伐としたホットスタート。それが終わったかと思えば、うらびれた日常シーン。やや説明不足感のある物語構成ですが、それでもなおスラスラと読めてしまう不思議な作品です。冒頭の構成がちぐはぐならば、登場人物たちもまたちぐはぐ。ぱっと見さえない?青年と、なぜかメイドスタイルを好むクール系ヒロイン、そして猫。ちぐはぐだけど王道の探偵物(万屋物)と言う共通認識を上手く使っています。必要なのはテンション高めの突っ込み枠。そのスペースに座るのはあなたです。
過去に名の知れた魔導士らしき、現在は自営業でのんびりな主人公と、そこに使えるように鍛えて欲しいと連れて来られた新人魔導士。二人の掛け合いは師弟の様で、純粋な師弟関係ではない微妙な距離感。世間的にも師弟であって師弟でない二人の成長禄。最初こそ弟子も師匠もその人間性が掴みにくいが、暫くすればその在り方に理解が出来るようになるでしょう。少なくとも弟子は序盤の可愛げの無さが激減するので、最初の人を舐めた態度が嫌いな人も、途中から気にならなくなると思います。
「次々舞い込んでくる事件をクリアしていく」という構図の話が好きなので、楽しく読めました。主人公は、冷めてはいるけど冷たくはなく、人情はあるけど情けはかけすぎず……と、良い塩梅の距離感をとる性格だなと思いました。復讐に燃える少女にとって、良い先生だと思います。
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