あの夏の日々に、想いを馳せて――。
- ★★★ Excellent!!!
病院で夫を毎日見舞う、妻の物語。この夫婦は老夫婦であり、夫は意識がない。
まるで月日にも、場所的にも、置き去りにされたような病室に、妻は見舞う。
窓の外は雨。
だが妻が帰ろうとした時、懐かしい花火の音が聞こえた。
夏の日の思い出。幼い孫娘と、西瓜、線香の匂い。そして元気な夫。
皆で見たのは、夜空に咲く大輪の花。
しかし、病室では、やはり雨が降っていて、花火もビルで隠れてしまう。
空耳だったのか? 願望が錯覚を起こしたのか?
病室の静けさと、夏のきらきらした思い出の対比が見事な作品。
是非、御一読下さい。