異能バトル文体のような二十二歳無職の食レポ小説

どうしてこの主人公は、某ジャンクフードチェーン店での食事で、ここまで大仰に表現出来るのだろう――半ば呆れつつ、げらげらしつつ、最終的にはちょっぴりしんみりする。まあそれなりに充実していそうな、ある一日。

「くらやみももこ」という美少女(推定)の形をした「心の闇」と会話しながら、主人公は入店、注文、実食とそれぞれのタスクを重々しくこなしていく。そのさまは完全に異能バトル文体のケレン味に満ちていて、なんでこれしきの出来事をここまで大げさに語れるんだ!? と目をみはる。

最初から最後まで、ただ大げさな食レポと言えばそうなのだが、エピローグは少し考えさせられるものがあった。何かを食べたいと思った時、人はいつだって「美味しいもの」に出会いたいのだ――