家族愛の、優しい物語。

激しい雨音や湿気など、屋根裏部屋の空気が伝わってくるような描写でした。屋根裏部屋は、母の過去やそこから生まれた心情や記憶であり、つまりは今の母を形作っているものの表象なのでしょう。母の中をのぞいた娘は、自分が母の一部であること、また母や亡くなった父も自分の一部であることを知り、深い安堵に包まれて眠りにつきます。
亡き夫に似た娘への愛を原動力にして日々強く生きる母親の姿、そんな母に対して雨の夜にひとり思いを馳せる娘。家族の愛や、理屈では表せない強い結びつきが印象的な、優しい作品でした。