概要
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- ★★★ Excellent!!!まるで――読者もまた火車に追い立てられるような、焦燥感。
奇妙な作品だ、と思う。
物語の舞台はほぼ、「僕」と「先輩」の二人の大学生が会話をしている車内だけに限定される。そこで語られる内容は、「火車」と呼ばれる妖怪に関する話題だ。
「火車」について語る先輩の話は、一見すると単なる著者自身の知識・蘊蓄の披歴のようにも見受けられる。先輩の話の内容はおおむね通り一遍の一般論であり、とりたてて不審に思うような点はない。
だが、中盤の先輩による「ある一言」によって、ただの一般論に見えた「火車」の物語は、我々の生きるこの現実の出来事へと、あざやかに転じるのだ。
「その一言」からのこの小説は、読者にまさに「火車」に追い立てられるような焦燥感を与える、スリリ…続きを読む