美しい『思い出』ほど、心に刺さるのだ

連載中、なんどこの物語を読み、心が締め付けられたか。
何度、この物語に泣かされたか。
何度、この世界の神様にふたりの幸せを願ったか。

物語の舞台は、異世界ではあるものの、どことなく、過去の日本に似た世界です。
病気に対する偏見。戦争が忍び寄る雰囲気が、常に読み手側を不安にさせます。

家族を喪い、引き取られた叔父とも、病によって引き裂かれる主人公ルギウス。
薄幸のこの少年の前に現れたのは、まるで太陽のような少女ソレイユ。

身分違いのこの二人は、だが、互いに惹かれあい、互いの存在に意味を見いだしていく。

だがここで。
ルギウスの側に居る『何か』は、にたり、と嗤うのです。
ケタケタケタケタケタ、と。

お前を決して、離さないぞ、と嗤うのです。
ケタケタケタケタケタ。

お前は邪悪なのだ、と。
ケタケタケタケタケタ。

ケタケタケタケタケタ。
ケタケタケタケタケタ。


物語の最後に。
ルギウスが再びみつけたもの。
その輝きに、すべてが浄化されますように。

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