牢屋から始まる反撃する道具屋

　異世界ファンタジー小説として発表されている作品ですが、コメディとシリアス半々といった内容なのでとても読みやすいです。キーワードとして「漬物」が登場しますが、これが独自の世界観を持つこの作品と上手に調和しています。私たちが普段目にすることが多いだけに、読んでいて思わず納得してしまう場面も多々ありました。

　さらに異世界転生ものでありながら、今作が主人公優遇シリーズでないこともポイントです。慣れない世界で必死に生き続けようとする主人公の姿に、思わず共感してしまいます。

　作品はまだ完結していないようなので、今後主人公が異世界でどのようなことを学ぶのか楽しみです！

　日本人に馴染みのある食品について、異世界で面白く扱うギャグファンタジー……と思えたのは途中まで。

　その食品が物語の中核を担い、主人公の運命を左右する。様々な思惑や考察が絡み合っていると気が付いたときには、もう真相が気になって仕方がない！
　大きな謎を含みつつ、話の中心には古来より伝わるご飯のお供。シリアスとおかずのギャップが、先の展開に深みと興味を持たせてくれる異色の作品です。

これからどうなるんだ？！と思えるような作品でした。